山本さんの会社は、地方で30年続く小さな会社です。
製品は決して派手ではありませんが、品質には自信がありました。
父の代からの方針は、とてもシンプルなものでした。
「無理なことは言わない。 できることは、最後までやる。」
値引きで勝負もしない。
大きなことも言わない。
頼まれた仕事を、きちんとやる。
それが、この会社の“当たり前”でした。
ある日、山本さんは取引先からこんな言葉をかけられます。
「御社は安心ですよね。何かあっても、逃げない。」
山本さんは少し驚きました。
特別なことをしてきたつもりはなかったからです。
でも振り返ると、思い当たる場面がいくつもありました。
- 納期が厳しいときも、正直に状況を伝えたこと
- 赤字になっても、約束した仕事を最後までやり切ったこと
- クレームのとき、言い訳をしなかったこと
それらはすべて、戦略ではなく、その場その場の判断でした。
山本さんの会社は、「誠実な会社になろう」と掲げていたわけではありません。
けれど周囲は、いつの間にかこう理解するようになっていました。
- あそこは安さの会社ではない
- あそこは安心の会社だ
- 最後に頼る会社だ
繰り返されてきた判断が、価値として受け取られ、それが“約束”として信頼されるようになっていたのです。
ブランドは、掲げた瞬間に生まれるものではありません。
過去の選択に、後から名前がついたものなのです。
ここで、少し立ち止まってみてください。
・なぜ、今のお客様はあなたを選んでいるのでしょうか
・なぜ、「あなただから」と言われるのでしょうか
・逆に、選ばれなくなった理由は何だったでしょうか
それらはきっと、過去のどこかの判断とつながっています。
👉 後編では、この「過去の判断」が誰に、どのような価値として受け取られてきたのかを、もう少し丁寧にひも解いていきます。
